ガールズバー

ハイスツールに腰掛けて、アメスピに火をつける。

 

ほんのりバニラの香りがする、暗めの小綺麗な店内が心地いい。

 

「どっかで飲んで来たんですか?」なんてお仕着せのあいさつから始まる。

 

でもままごとってやつは、当事者同士がベタさを自覚してやってるからこそ楽しいもんなんだ。

 

性搾取だって?そうだね。

 

ポリティカルコレクトネスの世の中では、ぼくは最低な性差別者だね。

 

でもぼくは潔く認めるよ。

 

合コンのような生殖のためのプログラムよりはいやらしくないって確信してるからね。

 

要するに、世間で言う道徳ってやつは自己破綻してるんだ。

 

 

この間は右も左もわからないような感じで

 

よそよそしくしてた君の方がよかったのにな。

 

今日はやけに積極的で、自信があるように見えるよ。

 

生意気なのは好きだけど、自信がある人間はやっぱり鼻持ちならないね。

 

 

成熟も責任も、本当は抗うべきものだよ。

 

みんな変に真面目になっちまった。

 

アリシアキーズとは違って、永遠の若さを約束する泉こそ求めているものだ。

 

 

それなのに、みんな正直にそう言わないんだ。

 

 

・・・

 

 

水割りがもはや水みたいになってきた。

 

やっぱりブルドックにしとけばよかったかな。

 

 

生身の匿名ってやつも悪くないね。

 

君と話してるとそう思うよ。

 

だから、誰でもいいってのは正しいし間違ってる。

 

「お酒強いですね!全然顔に出てないし。」

 

そうなんだ。

 

でも見かけによらずけっこう酔ってるから、

 

明日になれば君の顔なんてあんまり覚えてないんだよ。

 

次に会った時も髪形やメイクの些細な変化なんて気づかないから、初対面みたいなもんさ。

 

いずれにしても、君の顔と話し方は好きだよ。

 

無邪気っていう言葉が似合ってる。

 

親に感謝する前に、ブルデューでも読むべきだよ。

 

ところで君は人生を計画してたりするのかな?

 

バックドアとして、結婚にあやかるっていう生き方もあるよね。

 

その自慢の容姿を活かしてさ。

 

ぼくは計画しないけど、少なくともお墓には入らないつもりだよ。

 

 

 

 

成熟も責任も、本当は抗うべきものだよ。

 

みんな変に真面目になっちまった。

 

アリシアキーズとは違って、永遠の若さを約束する泉こそ求めているものだ。

 

 

それなのに、みんな正直にそう言わないんだ。